喫水線と汽水域 (2013.11)

<汽水域A>




<汽水域B>



<汽水域D>



<汽水域E>


<汽水域F>


<喫水線C>







2013|紙に万年筆, 木箱, ガラスケース|インスタレーションサイズ
"常懐荘アートマルシェ FINAL - おわりのはじまり” 常懐荘(愛知県小牧市)


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「喫水線と汽水域」について
 

 今回、常懐荘の書庫を中心にして、「喫水線」と「汽水域」というタイトルの作品を展示しました。それぞれの言葉の意味は、

 喫水線(きっすいせん)・・・水上に浮かんでいる船の、水面に接する分界線のこと
 汽水域(きすいいき)・・・・淡水と海水の入り交じる河口や湖のこと

 というもので、いずれも水そのものにかかわる言葉であり、それらはまた、ふたつのものが接しあったり交じりあう瀬戸際や範囲をしめしています。

 たとえば、いま目のまえにみえる景色というものを、世界に3,000種類とも8,000種類とも言われている言語のうちにふくまれる一言語としてかんがえたならば、じぶんたちはどれだけ景色そのものの言葉を汲みとり、活用して、声にすることができるでしょうか。あるいは、景色というものがどこまでも織りかさなって生じていくものであるとしたら、そこであらわれる言語というものは、地球上に引かれた緯度と経度を縒りあつめるように派生していくものだとかんがえることもできるでしょうか。

 展示してある作品は、景色というひとつの言語のあらわれに寄り添うように、あるいは、水そのもののような自然性のなかで流されながら、水面すれすれのところを浮かんでいく不安定さをみずからの領域として、そこで蒸散してきえていっても、朝露のように気づかぬうちにあらわれていたとしても、どちらの状況も等しく受けいれていく一線を保っていくことができたら、とおもっています。